研究課題
基盤研究(C)
本研究では、感音性難聴者用補聴器を調整するための支援装置として、音声信号の振幅帯域を補聴器使用者の聴力に合わせて指数関数的に伸長する方法で模擬難聴処理するところの実時間処理型調整支援装置の開発と、その装置の有効性を確認することを目標として研究を行った。実時間処理装置の開発研究では、音声周波数帯域を5帯域に分割してそれぞれの帯域の振幅を難聴者の聴力に合わせて指数関数的に伸長処理し、その非線形処理に伴う高調波歪を除去して加え合わせるプログラムを作成し、市販のデジタル信号処理基板を使用して作成した装置に組み込んで調整支援装置とした。またその装置を用いて音声信号を実時間処理し、音声処理で許容される20ms以内の遅れ時間で処理が可能であることを確認した。次に調整支援装置の有効性を確認する研究では、医学部付属病院耳鼻咽喉科と共同して難聴者による評価試験を行った。日本聴覚医学会の67-Sおよび57-S語音表を用い、片耳難聴者を被験者として難聴耳にオリジナル音声を入力したときの語音弁別試験結果と、健聴耳に難聴処理した音声を入力したときの語音弁別試験結果を比較し、それらの結果がほぼ一致することを確認した。これらのことから、本研究の実時間処理型調整支援装置の機能は当初目指した研究目標を達成しおり、その要素技術を確立することができたといえる。また本研究で開発した模擬難聴処理を適用すると、これまでは困難であった老人性難聴者に多いリクルートメント現象の難聴者の聞こえを再現することができる。そこで、病院・福祉関係者に模擬難聴処理した音声を聞いてもらい、感音性難聴者に接する際の対応について啓蒙する活動にもすでに利用している。
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International Conference on Kansei Engineering and Emotion Research
ページ: B-6
ページ: B-7
ページ: B-14
Proceedings of the International Conference on Kansei Engineering and Emotion Research(Sapporo) B-6
Proceedings of the International Conference on Kansei Engineering and Emotion Research(Sapporo) B-7
Proceedings of the International Conference on Kansei Engineering and Emotion Research(Sapporo) B-14