研究課題
基盤研究(C)
本研究では、聴覚障害者のため屋内外での利用を前提とした音情報伝達システムの開発を目的として、以下のように研究を実施した。1.聴覚障害者を対象として、屋外では危険回避のため発音を知らせる注意喚起と音源方向の2情報、屋内では生活向上を重視して、注意喚起、音源方向および音種の3情報を各々音情報と定義した。2.実環境での利用を想定した音情報認識手法を開発した。すなわち、屋外では2つのマイクロフォンで録音した音データに対し、バンドパスフィルタによる雑音除去、BSSによる2音種の分離を行い、分離された音種を6つの特徴パラメータを用いて推定し、推定音種が屋外の4音種に属せば4音源方向の推定を行う。屋内では、SSによる雑音除去、屋外での手法と同様の手順により7音種を推定、音源方向の推定を経て音情報が検知される。音源方向の検知には2つの音の振幅差を利用した。音種の検知には検知する音と辞書の音との6特徴パラメータ間のユークリッド距離が最短のものを推定音種と判別した。雑音を考慮した音種の検知率は80%であり、その検知結果が正解のものに対する音源方向の検知率は88%であった。3.注意喚起、音源方向および音種の各情報に12のパターン波形を対応させ、これら2つあるいは3つの刺激を用いて音情報を伝達する手法を提案した。改良した実験システムを用い、4名の健常者を対象に各自4回の方向情報および音種情報翻訳テストの実験を行った。4回目には平均正答率が約95%と約92%、平均反応時間約1.2秒と約1.6秒の値が得られた。屋内では音情報を即時に伝達する必要がないため、開発したシステムは屋内での利用に有効であると期待される。今後は、音情報の処理時間や電気刺激の伝達時間の短縮、音情報の検知率を改善していく。また、健常者と聴覚障害者を対象とした音情報伝達実験を行い、得られた結果を検討し、システムの有効性を確認する。
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Proceeding of the 29th Annual International Conference of the IEEE EMBS
ページ: 3826-3829
Proceeding of the 9th Western Pacific Acoustics Conference, WESPAC IX 2006 (CD-ROM)