研究概要 |
「押しボタンおよびレバー式操作装置」と「操作装置が取替え可能な電動車椅子」を試作し,走行実験によって,以下のような知見を得た: (1)操作指令の種類が同一である場合,押しボタン式操作装置とレバー式操作装置は同等の操作性を有する. (2)「前進とその場旋回のみ」から「ジョイスティヅクとほぼ同等の指令能力」まで,指令能力を変化できるレバー式操作装置を設計した.この操作装置は,使い慣れた操作装置の外観を変更することなく,操作性を向上させることができ,操作者のリハビリテーション効果を生み出す可能性がある. (3)当初,2つのレバーを同時に操作する入力も適切ではないかと考えたが,操作に熟練してきた場合,両手を同時に使用して操作する指令を含まず,片手のみですべての指令が可能な入力方法のほうが操作感覚がよい. 試作電動車椅子本体設計時に「その場旋回時には障害物と衝突することのない」構造を実現して,安全性を向上させた.衝突回避機能として,障害物に接近したときに,衝突防止機能が「減速から障害物回避」と「減速から停止」の2種類のパターンを適切に使い分け,操作者の意思を必要以上に妨げることなく衝突を防止するアルゴリズムを提案した.たとえば,壁面にほぼ直角に接近した場合は,操作者は壁面に近づきたいと判断して,ゆっくりと壁面に近づき壁面の近傍で停止する.一方,壁面に接近する角度が小さい場合は,減速の後,回避動作に移行し,直進指令が入力される間,壁面に沿って移動することを実現した. 2名の作業療法士の方に,試作機に対するご意見を伺い,「操作ボタンのレイアウト」「車椅子のシーティング」に関するアドバイス,「自力移動ができない障害児の補助装置による移動のリハビリテーション効果の有効性」「衝突防止の有効性」に関する示唆をいただいた.
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