研究概要 |
障害をもつ方に利用していただくために,押しボタン式あるいはレバー式操作装置を搭載することができる車椅子を試作した.本年度,レバー式操作装置を改良し,グリップの間隔・角度・高さなどを容易に調節可能な操作装置を作成することができた.このことにより,個別の操作者への対応能力を高めることができた.「操作者の残存能力」を考慮しながら,操作者の意思を必要以上に妨げることなく障害物との衝突を防止するための操作支援機能について検討し,「壁への安全な接近と回避の使い分け方法」「狭い通路の走行支援」「狭い出入り口の通過支援」などのアシスト手法を提案した.障害者が電動車椅子を利用される時の配慮事項,電動車椅子操作に使うことができる身体的能力(機能)・判断力などについて,滋賀県内の3つの福祉施設において作業療法士・理学療法士・看護士・カウンセラーの方々から,試作機を使用していただきながら聞き取り調査を実施した.この中で,発達障害を防止するための移動機器および移動経路が狭い日本家屋内において,試作機の利用の可能性があることがわかった.しかしながら,障害者の方々が生活空間としておられる施設内での使用には,既に施設を利用しておられる方との協調が難しいことがわかった.これらのヒアリングの中で,開発中の電動車椅子を利用する可能性のある方のご協力をいただくことができ,障害者の方に試作機を試用していただくことができた.また,操作装置と操作者の操作能力に適合した操作装置を適合させる手法を生み出す試みを行った.「操作者の操作能力および希望」と「操作機構の能力」を視覚化し,直感的に適合を判断する手法を構築中である.
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