研究概要 |
姿勢動揺の様子やバランスの不安定な状態について振動触覚刺激を用いて教示するシステムを用いて,高齢者や障害者のバランストレーニングにおける効果的な感覚フィードバック方法を見出すための基礎的な研究活動を行った. (1)身体動作解析装置と重心動揺計を同時に運用するシステムを構築した.これを用いて健康若年者の身体動揺実験を行い重心動揺軌跡と身体各部の運動データを測定した. (2)振動刺激によって被験者に姿勢変化を起こさせバランストレーニングを行うソフトウエアを改良した. (3)バランストレーニング時に能動的な身体運動を被験者に教示するために,複数の振動子を身体各部に装着し,振動刺激を経時的に切替えて移動感覚を表現する方法を改良し,バランストレーニングを効果的に行える可能性を示した. (4)起立歩行時の姿勢バランスの状態を身体動作解析装置を用いて計測する際の適切な装着方法を検討した.姿勢の安定/不安定の状態の推定精度の向上を図った. (5)姿勢の安定性の注意喚起の情報,および,姿勢を安定にするための身体運動の方向と大きさの情報を,使用者の身体特性や個人の臨床課題に応じて決定する方法を考案した. (6)理学療法分野の臨床上有用なバランストレーニングの実践方法とバランスコントロール能力の評価方法を提案した. 本研究活動によって一定の研究実績をあげることができたが,これらを踏まえ以下について研究を継続したい. (a)歩行時の姿勢の安定性の評価:重心位置データからは起立時の安定性しか判断できないが,上体の傾斜角度の時間変化などの三次元位置情報は歩行時でも測定可能である.両者を組み合わせて歩行時の姿勢の安定性を評価する手段を検討する. (b)振動触覚による情報の表現手段の展開:姿勢を安定にする手掛かりばかりでなく,身体機能のリハビリテーションの手段として振動触覚がどのように活かせるかを実用性を踏まえて検討する.
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