本研究の目的は視覚障害者が安全に一人で歩行できるための歩行支援装置を開発することである。具体的にはGPSにより障害者の位置を把握し、これとディジタル地図を用いて道案内を行う屋外での使用を目的としたものと、床の上に貼り付けた色毎に目的地の分かれた色つき誘導ラインを視覚障害者が持つ白杖を通して認識し道案内を行う屋内でのしようを目的としたものの2種類の開発を行っている。前者のシステムでは利用者の携帯する装置が大掛かりなものとなる欠点があったが、これを解消するため今回は普及著しい携帯電話を利用することとした。多くの携帯電話ではJAVAで開発されたアプリケーションを動作させる機能があること、また少なからぬ携帯電話がGPSを搭載していることに注目し、ここでは対象機種をNTTDocomoのFOMAに絞り、この携帯電話を利用して視覚障害者を道案内可能なアプリケーションの開発を行った。具体的にはNTTより無料配布されているJAVA開発環境とFOMAのエミュレータをノートコンピュータ上に展開し、GPSをシリアル回線を通して接続した。このコンピュータ上にGPSデータと地図情報を元に道案内を行うシステムを構築し実験を行い良好な結果を得た。また後者のシステムでは屋内での道案内を目標としているが、出発地点から目的地まで敷設された色の付いた誘導ラインを識別し、これを白杖の振動として利用者に伝える気候は昨年度までに完成している。今回は要所の道案内を音声で行うためのRFIDタグシステムで白杖とタグとの通信距離を増加させ視覚障害者の白杖の使用法によらず安定した案内が行えるよう改良した。これは健常者による実験で安定性の向上が確認された。
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