研究概要 |
1)平成17年度に開発したシステムを用い,グループホームにおける継続的な適用を行うとともに,効果の評価方法について検討した.若年,中年,日常生活に支障のない高齢者,グループホーム入居高齢者を対象に,新たに導入した足底圧計測システムを利用して,静的・動的バランス測定を行った.重心動揺の総軌跡長,ファンクショナルリーチ,歩行時の足底接地時間の左右差などに高齢者の機能低下が見られたが,個人差も大きく,健常高齢者とグループホーム入居者の違いは見出せず,今後被験者を増やした検討が必要である.継続運用に必要な要件を現場のスタッフと議論し,実施にあたっての手軽さ,コンテンツの豊富さが必要であることを再確認し,前者の1つの改良策として,バランス運動器具の軽量化をめざしアルミ製の装置を内作した. 2)大きなキャンバスや製図台のように,平面上で上腕を大きく動かす運動に着目し,ドラフター型の運動デバイスを試作した.具体的には,ドラフターの作業面にプロジェクタで映像を投影し,2自由度のロボットアームで上腕の平面運動をサポートするというものである. 3)コンテンツの構成要素を整理し,オブジェクト,アニメーション,ライティング,イベント処理などを,モジュール化することで,コンテンツを容易に制作できるようなコンテンツ制作環境を整備した.同時に汎用入力インタフェースを導入して,個人に合った運動とコンテンツとのインタラクションを容易に実現できるようにした. 4)コンテンツの構成要素が賦活する身体動作を評価するために,能動マーカ型3次元位置計測装置を用いた身体動作の計測,筋電図計測を実現した.また運動負荷の至適制御をめざし,心拍,血圧,酸素・酸化炭素摂取量,換気量を計測する実験システムを構築し,個人の状態に適したコンテンツの構成要素の組み合わせの選択,至適負荷の制御方法を検討する準備を整えた.
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