研究概要 |
本研究では,ヒトの行動情報をできる限り簡便な計測装置を用いて計測し,その結果に対して本研究において提案した情報エントロピーを用いた健康状態指標を抽出することで簡易にかつ自動的にヒトの健康状態を推定するシステムの開発を目標とした.本年度は,最終年度として,昨年度に製作したシステムおよび,既存のシステムを用いて提案システムの妥当性と有用性を検証した.以前に開発したシステムでは,テレビのON/OFFのような家電製品の使用に関する時系列データを対象としていたが,今年度はこれに加えBluetoothを用いた携帯型のシステム,および室内の天井に設置した焦電型センサによるデータの取得と解析を行った.まず長期間獲得した時系列データについて,線形処理を用いた予備的調査を行ったところ,平常時と異なる傾向のある部分を発見した.しかしながら,線形処理で解析したところ,平常時と異常時である可能性を示した部分の統計量には有意差は認められなかった。このデータから情報エントロピーを用いた健康状態指標を抽出し統計処理を行ったところ,平常時のデータとの間に有意差が認められた.この結果は聞き取りによる調査が示す状況によく一致していた.さらに焦電センサの設置位置近傍に設置したテレビのON/OFFに基づくデータともよく一致していた.これらの結果から本研究で提案した情報エントロピーを用いた健康状態に関する指標は一定の条件のもとではあるが有用であることが示唆された.
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