フェールセーフとフォールトトレランスの考え方をべ一スにユーザの行為を中断することが許容困難な介助・支援機器において、ユーザの利便性を考慮した安全技術を確立するという研究目的に対し、以下に研究実績を示す。 研究内容は、障害者・患者・要介護高齢者の自立支援・介護支援を行う現場において、移乗・移動用のリフタ・電動車椅子、食事・入浴・排泄等の介助・支援機器が故障した際の機能維持のための基礎技術であり、具体的には、介助・支援機器のセンサ・アクチュエータ・ソフトウエア(CPU等電気ハード含む)・機構の各要素のいずれかにおいて故障が発生した場合において、故障箇所の検出や故障状態の評価、および前記評価結果をもとにした動作出力制限およびユーザへの情報提示と操作制限を行う機能を開発することを目標とした。 平成18年度は、上記本研究目的のうち故障の検出機能と評価機能について、アルゴリズムの開発と実験装置の準備を行った。まず1自由度の二リアスライダとドライバ、制御系をダウンロードする制御ボックス、制御系を設計するPCから構成される実験系の開発を行い正常に動作することを確認した。ターゲットとする故障箇所として、スライダの両端にマイクロスイッチを配置し、通常は両端にテーブルが接近した際に停止信号を発するシステムとした。また、故障箇所と故障レベルの検出および致命的故障に対する余裕度を評価するアルゴリズムの開発をおこなった。アルゴリズムについては、次年度にかけて、1自由度作動機構を対象に故障箇所を確率的に計算する故障検出機能、ハードウエア自体の故障等で分類する故障評価機能としてとりまとめるべく開発を継続している。なお、これらの成果を一部応用し、筋無力症患者(SMA患者)のための電動ストレッチャーへ応用し、患者が指でストレッチャーの動作を制御する操作デバイスについて概念設計を行った。このように基礎的な研究と応用開発とを組合せ研究を推進していく予定である。
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