研究課題
基盤研究(C)
本研究は、高齢者、下肢麻痺者を対象としたリハビリ機器に機能的電気刺激(FES)技術を総合的に取り込むことによって、効率的かつ効果的な全身運動を可能とするハイプリッド・パワーリハビリ機器の開発を行うものである。機器開発の基礎データの収集として、ローイング運動時の動作を計測し、運動学的データを用いたモデル計算により解析を行う。生体運動系である人体のモデリングとして、リンクおよび筋骨格モデルを用いて各関節に働く関節間力およびモーメント等を評価する。重力や加速度を考慮して各関節に作用する水平方向の力と鉛直方向の力とモーメントの釣り合いから動力学的に足関節、膝関節、股関節の関節モーメントを求めた。非侵襲で患者の負担が軽いと考えられる表面電極型の電気刺激発生装置を用いて、筋を外的に刺激・制御することで効果的なリハビリ機器を目指した。計測実験システムは、足部をハンドル部に荷重を計測するセンサを取り付けた新しく開発したローイングマシンと、CCDカメラの画像より標点の空間座標を追跡する画像処理装置を用いた。この計測システムにより人体にどのような負荷がかかるのかを検証した。ハンドルを引くときに必要な力、足部にかかる反力を実験的に求めた。その結果、ハンドルを引く力も足部にかかる力も最初の動作が一番大きい値を示していた。頭頂、肩、腰、膝、足首、手首肘の軌跡より3回のローイング動作でほぼ同じ軌跡を示してた。足部が受ける反力と、身体各部の軌跡をもとに各関節に係るモーメントを算出して評価したところ、足関節と膝関節に係るモーメントは歩行動作とほぼ同じであるが、股関節には歩行時の2倍以上のモーメントが係っていることがわかった。本研究によって、機能的電気刺激と併用するリハビリ機器の実用化の見通しを得た。本研究成果に基づき、リハビリ機器の重量や寸法などの機械設計上の変更を行うことによって、施設内で使用できるリハビリ機器を設計できる。
すべて 2006
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