本研究は、介護保険の住宅改修サービスに関して、改修技術という側面からケアマネジャーを支援する機能が不可欠との認識に立ち、住宅改修専門職(プランナー)による改修技術の提供方法を検討しようとしている。このため、(1)介護保険制度以降における住宅改修の技術支援事業の課題を明確にし、(2)個別住宅改修支援におけるプランナーとサービス利用者、ケアマネジャーのあるべき関係を検討するために先行事例の実態を把握した。 まず、住宅改修プランナーとして実績を有する5つの支援チームに関するグループインタビューでは、アドバイザーという立場の限界と介護保険制度以降の相談需要の減少傾向が示された。次に、住宅改修の支援チームを組織的に設置している北海道においてアンケート調査を実施した。支援チームに対する相談件数は全道的に減少しており、理由の一つは、介護保険制度の住宅改修のシステム内で住宅改善相談への対応が充足されていることである。9割以上の市町村が住宅改善のための相談窓口を設置し、3割弱が改修工事の内容にも対応していた。また、約3割の市町村で、訪問による調査や指導を行われていた。さらに住宅改善支援チームが活用されていない背景には、当該事業と介護保険や高齢・障害分野との連携が不十分であり、関係者への周知も十分でないことがある。他方、ケアマネジャーに対する技術的支援の必要性を感じている市町村は4割強あるが、7割強の市町村が専門的技術・知識を要する相談に対応していないことから、住宅改善支援チームの役割は有用でありその運用の方策を見直す必要がある。 一方個別支援に関する事例調査では、アドバイザーという立場の限界を考慮し、設計業務とアドバイザー業務の境界で関わっている二つのチームのプランナーを対象に(合計5名、21事例)、プランニングに必要な情報とその提供元、改修計画意図の提供先を把握した。
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