本研究は、介護保険の住宅改修に関して、ケアマネジャーをバックアップするために、住宅改修の計画技術を提供する方法を検討しようとしている。本年度は、保険者自身その役割を担っている広島県E市における事前訪問事業をとりあげ、保険者(給付管理データと担当者ヒアリング)およびケアマネジャー(アンケートとヒアリング)の詳細な調査を実施した。また、介護保険制度のなかで住宅改修の技術支援事業がどの程度制度化されているかを把握するために、全国市町村を対象とした郵送スクリーニング調査を実施した。当該事業が機能している事例についての調査を、次年度に予定している。広島県E市における事前訪問調査事業に関する事例調査について、以下に報告する。 平成18年度から住宅改修事前申請が義務付けられたが、E市では以前からその体制がとられ、保険者による全数の事前訪問調査が実施されてきた。これは給付の適正化を直接的な目的としているが、改修計画について事前に協議し、必要であれば計画変更を行っており、ケアマネジャーに対する技術支援とみることもできる。平成18年度及び19年度前期では、給付決定件数172件、内、計画変更がなされたものは100件で、計画変更率58%であった。事前訪問の実施や計画変更を協議する担当者は保健師と給付係の事務職である。19年度は事務職のみの担当となったが、5年以上の経験を有する担当者であり、介護保険の住宅改修に限れば十分な専門性を有していると認知されており、本事業の目的を単に適正化としてとらえるケアマネジャーは少ない。計画変更事例に関するケアマネジャー調査においても、改修計画の検討方法については現状の動作確認は総じて実施されており、事前訪問調査によるアセスメント技術の移転は行われている。ただし、動作方法の変更を伴う改修計画などについての技術移転は今後の課題といえる。
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