本研究は、ケアマネジャーをバックアップする住宅改修専門職の支援システムについて、先行事例などの支援プロセスと効果について明らかにし、住宅改修のプランニング技術を提供する地域システムのあり方を検討することを目的とする。本年度は、介護保険制度内で技術支援の提供が図られる途として、「住宅改修が必要な理由書」の標準様式を用いて適切な改修プランを立案するための技術支援の提供について検討した。具体的には、千葉県B市において「住宅改修が必要な理由書」の標準様式を活用した「理由書」作成支援ソフト(事後評価を含む適切なアセスメントを可能にすることを目的に、2008年度に筆者らが開発したソフト)を試行し、2008年5月から9月までの93件の「理由書」について、ソフトを利用して作成した「理由書」23件の記載内容とソフトを利用しない「理由書」70件の記載内容を比較分析した。 ソフト利用群では、住宅改修の対象者の総合的状況について、移動方法や他の居宅サービス計画との関連なども踏まえた適切な情報が記入されていた。ソフト利用群と未利用群の顕著な差は、特に具体的な困難状況の記述に現れていた。「排泄」「入浴」「外出」動作の記述内容を整理したところ、ソフト利用群では117例中1例のみが具体的記述がなかったが、未利用群では259例中53例に具体的記述がなかった。さらに、ソフト利用群では「段差昇降・跨ぎ」と「段差つまずき」の特定化、段差昇降の「昇り」と「降り」の特定化、「立位で行う動作」と「座位で行う動作」の特定化、「立ち上がる動作」と「座る動作」の特定化が明確に行われていた。本調査によって、「理由書」作成支援ソフトがケアマネジャーの住宅改修を支援するツールとして利用できることが明らかとなった。
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