研究概要 |
本研究は、次に掲げる3点を研究目的としている。 (1)体育学習に関わるデジタル・コンテンツの収集と評価,およびデジタル・コンテンツを使用した体育授業実践の調査と評価、(2)デジタル・コンテンツを使用した授業モデルの構築と授業実践における教授行動の分析、(3)体育学習における"IT授業"実践データベースの作成 本年度は第1番目の目的を達成するため,次のような形で研究を行った。 (1)デジタル・コンテンツの収集 Webページ上に公開されているデジタル・コンテンツや市販されているデジタル・コンテンツを収集し,その内容や使用対象によって分類した。その結果、Web上に最も多く掲載されているのは,デジタル・コンテンツ使用による授業実践を報告したもので,全体の約36%であった。次に多いのは,それらの授業実践報告の中に,そこで使用した動画等を同時に提示した「総合」で,全体の約30%だった。また,動画コンテンツだけを個別に提示する「素材集」はそれほど多くなく,全体の約19%であった。さらに,これらを対象となる学校種別に見てみると,いずれの種類においても小学校を対象としたものが最も多く,次いで中学校,高等学校の順になっていた。 (2)デジタル・コンテンツを使用した体育授業の視察 ニュージーランド,オーストラリアにおいてデジタル・コンテンツを使用した体育授業実践を行っている学校を選択し,その実施状況を視察した。ニュージーランドではオタゴ市・クライストチャーチ市,オーストラリアではブリスベン市周辺の学校を視察するとともに,オタゴ大学・カンタベリー大学・クィーンズランド大学における体育科教育学担当教員との情報交換を行った。その結果、ニュージーランド,オーストラリア両国ともに小学校でデジタル・コンテンツを使用した体育授業を行っているところは少なく,高等学校の一部で利用しているにすぎないことが判明した。またその場合も,自分の動きをバイオメカニクス的な視点から分析するといった使い方がほとんどであった。 以上の結果は,今後の研究を進める上で貴重な情報となった。
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