研究課題/領域番号 |
18500466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 秀樹 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90180645)
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研究分担者 |
米谷 正造 川崎医療福祉大学, 健康体育学科, 教授 (00220765)
清原 泰治 高知女子大学, 文化学部, 助教授 (00225096)
大隈 節子 福岡大学, スポーツ科学部, 非常勤講師 (50425237)
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キーワード | 総合学習 / 生きる力 / 知の形態 / 体験学習 / 身体知 |
研究概要 |
今回は「四万十楽舎」及び「黒潮実感センター」、「木賃ハウス」での調査活動を中心に報告する。「四万十ドラマ」については、事業と調査日程が合わず、来年度に持ち越された。 四万十市(旧西土佐村)の四万十楽舎では四万十川及びその流域の自然を利用しての各種体験活動を実施しており、地元の人びとが参加者とのインタープリターになることでその体験知を活用している。内容としては、みそ作り、こんにゃく作り、無農薬ゆべし作り、鍛冶体験、四万十川の流木を使っての木工クラフト、そして四万十川でのカヌー体験などである。また、時には地元の子どもたちと一緒に活動することで田舎遊びの共有なども行われている。このように昔から当地で育まれてきた体験知が地元の住民を通じて共通感覚として参加者に伝わっている。 大月町柏島の黒潮実感センターでは、小中学校を対象とした体験学習を行っている。太平洋に面した魚種日本一を誇る当地では、(里山に対しての)里海及び天然の海洋ミュージアムづくりを理念の中心に据え、ビーチコーミングや海洋生物観察、海洋資源再生産のためのイカの産卵場所作り・魚礁の設置、珊瑚再生活動などを行っている。豊富な自然を活用し体験学習と環境教育とを合体させた取り組みである。また、これらは東京都三宅島・御蔵島において故ジャック・モイヤー氏が実施していた小中学生を対象にした体験活動へと遡ることができる。 「木賃ハウス」は、高知県四万十市西土佐西ヶ方にある。所有者はデザイナーの迫田司氏である。迫田氏が以前に住んでいた古い家に無料で宿泊できる。木賃ハウスにはガスがなく、燃料は薪である。そのため、宿泊者は薪拾い、薪割り、五右衛門風呂焚きをしなければならず、炊事もかまどで行う。来訪者は不便な暮らしを楽しむ。季節によるが、迫田氏所有の棚田での米作り、畑作の手伝いなどの農作業が体験できる。山で捕れたイノシシの解体作業を見ることもある。地域住民との交流によって山村の暮らしを垣間みることもできるし、生活史を学ぶこともできる。来訪者は都会の住民が多く、環境教育を担当している教員や大学生もよく訪れている。大学生は地域の生活文化の聞き取り調査を行っている。
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