研究課題
基盤研究(C)
本研究ではDLT法による三次元画像解析手法を用いて算出される選手の位置情報を基にして、ハンドボールのゲーム中に使われる戦術行動について定量化することを目的として行った。平成18年度及び19年度の研究実績としては、次のような2つの分析段階について実施し、ねらいどおりの成果を得た。第一段階として、昨年度並びに今年度算出した三次元座標データを基に、ハンドボール戦術の分析に関する客観的評価パラメーター(攻防の推移を表す各チームの代表点の移動距離と速度等)を構築し、分析システムの開発を目指した。第二段階として、小学生、中学生・高校生について1/3秒ごとに得られる選手及びボールの三次元座標データから選手やボールの移動距離と移動速度を算出した。さらに、上記の新たに開発した客観的評価パラメーターを用いて、各年代で行われているゲームを分析し、ハンドボール競技における新たな一貫指導プログラム作成に必要な知見を得ようとした。その結果、小学生は移動距離(X=4901.2m)の不足はみられず、成人(X=4765m)に近い値を示した。しかし、ゲームの実態は速攻に対して消極的で、遅攻においても特定のプレーヤーの能力に頼った単純な攻撃に終始していた。中学生では、ミスの多さから攻防の切り換えが頻繁に行われ、速攻・ミス・帰陣の繰り返しにより、移動距離(X=6229.0m)同様平均移動速度(X=1.47m/s)についても高まる傾向がみられた。高校生では、グループ戦術を主体に功撃し、全体的なミスが減少し、またシュートの決定力が高くなり、移動距離(X=5931.9m)が抑えられたゲーム様相を示した。移動速度に関しても、プレーの合目的化により緩急のある動きを行う傾向にあり、平均移動速度(X=1.46m/s)は中学生と比較しても低いものとなった。
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大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 第57巻第1号(印刷中)
ページ: 1-13
Memoirs of Osaka Kyoiku University, Sex IV Vol. 57, No. 1 (In Press)