研究概要 |
20世紀初頭の英国初等・中等学校における課外活動としての組織的ゲーム(以下、課外ゲーム活動という)の実施と体育授業におけるゲーム教材の選定の事情を明らかにすることを平成18年度の重点的な研究課題とした。本研究の主要資料の1つであるSyllabus of Physical Training for Schools,1919(以下,1919年のシラバスと略す)は,それ以前の1909年版から一挙にゲーム活動教材を充実させて配列している。1919年のシラバスにおいては,体育授業では形式的な性格はできる限りなくし,楽しいレクリエーション的な性格が強調された。1919年のシラバスにみるゲーム重視の背景は,体育授業におけるゲーム活動教材の採択が課外活動としての組織的ゲームに関連していたということであった。ゲーム活動教材の取扱いはシラバスの文言では教師による選択の余地が残されていたが,毎回授業時間の半分以上の時間をゲーム活動に充当することが一般的な現状であり,それらは一部でevening play centresなどでも活用されていた。ゲーム活動の教材化の基本的な考え方は,フットボールやクリケットなどを簡略化したゲーム活動内容であって,その活動が個人ではなくチームが競争の単位としてみなされていた。それぞれの児童は,あらゆることでゲーム活動で公正にふるまうのかどうか,つまり跳躍や競走においてそれぞれ個人の役割を果しているかどうか,あるいは個人のためのみではなくチームの名誉のために活動しているかどうかが問われていた。以上が18年度の研究で得られた知見である。
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