研究概要 |
本研究では、スポーツ・ツーリズムにおける観光者行動のメカニズムを明らかにすることを目的とした。観光者のデスティネーション選択行動を説明するにあたり、購買行動における情報探索モデルを適用し、スポーツ・ツーリズムにおける観光者の意思決定プロセスについて検討した。次に、観光者行動の意思決定プロセスの概念枠組み(Mathieson and Wall,1982)について検討し、観光者プロフィール、旅行の意識、旅の特徴、デスティネーションの資源と特性といった4つの側面によって、観光者の意思決定に影響を及ぼす要因について考察した。そして、Moutinho(1987)が提示した包括的な観光者行動モデルを用いて、第1段階:決意前と決意プロセス、第2段階:購買後評価、第3段階:将来の意思決定、という3つの部分からなる観光者行動について検討した。 以上のように、スポーツ・ツーリズムにおける観光者行動について検討を加えた結果、観光者が旅行を決意する前の重要な部分となる選好構造に焦点を当てることにした。観光者は旅の特徴やデスティネーション資源と特性について考慮することによって旅行に行くことを決意する。登山者の場合、「往復の所要時間」、「コースの難易度」、「季節」、「登山道での混雑感」といった諸属性の条件について考慮することによって、登山旅行に行くことが想定される。登山者の旅行行動に対する選好構造について分析した結果、春・秋の季節で混雑していない時に、一定レベル以上の登山を楽しみたいと考えていることがわかった。このように、観光者の選好構造を解明することによって、スポーツ・ツーリズムにおける観光者行動のメカニズムについて理解することができた。
|