研究概要 |
これまでのレジスタンストレーニングにおけるエクササイズ中の筋活動様式に関する研究では、運動速度を規定しているものが多く、速度が変化し、発揮パワーが変化したときに運動に関与する筋群の筋活動水準がどのように変化するかという点については検討がなされていない。本研究ではレジスタンスエクササイズにおいて多段階の負荷重量を最大速度で挙上させた際の発揮パワーとこれに関与する筋群の筋放電開始のタイミング、筋活動量を定量的に評価し、パワー発揮と筋活動の関係を明らかにすることを目的とした。平成18年度は実験プロトコールの策定および上半身の運動であるベンチプレスを用いた研究を推進した. フリーウエイトを用いてエクササイズの1RMの測定したのち、多段階負荷に対する発揮パワーを測定した。その際に導出した筋電図信号は信号・画像処理ソフトウェアを用いて記録され、ビデオカメラによる映像との同期を行った。各負荷において発揮された最大パワー、筋放電量(RMS)を算出し、発揮パワーと筋電図指標の関連性について検討した。 その結果,筋放電量はパワー発揮よりも筋力発揮との相関が高い傾向が認められた.パワー発揮が高くても,筋出力が低い場合には,筋放電量は低い傾向にあった.しかし,ベンチプレス運動は多関節運動であるために,分析対象とした4つの筋(上腕三頭筋,三角筋,広背筋,大胸筋)の動員のパターンは筋出力やパワー発揮との相関とともに個人差も顕著であった.これらの結果を踏まえ,平成19年度には対象を下半身の運動であるスクワットヘと広げることに加えて,単関節運動を用い動作技術の個人差を抑制した条件下で検討することで研究を進めていく.
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