研究概要 |
これまでのレジスタンストレーニングにおけるエクササイズ中の筋活動様式に関する研究では、運動速度を規定しているものが多い.また,速度が変化し、発揮パワーが変化したときに運動に関与する筋群の筋活動水準がどのように変化するかという点については検討がなされていない。しかし、高いパワー発揮を行うためのメカニズムの一つとしてこれらを明らかにするために,エクササイズ中のパワー発揮と筋活動水準の変化について明らかにすることは重要である。本研究はエクササイズにおいて多段階の負荷を最大努力で挙上させた際の発揮パワーと,これに関与する筋群の筋放電開始のタイミングおよび筋活動量を定量的に評価し、パワー発揮に貢献する筋の特定、筋相互間の活動順序の変化について検討することを目的とした。レジスタンストレーニングにおける代表的な単関節および多関節運動として肘屈曲およびベンチプレスを採用し,被験者に多段階の負荷を最大努力で挙上させた.すなわち負荷の大小に関わらず高速で挙上しようとする動作を実施した. その結果は以下の通りである.1)単関節および多関節運動ともにパワー出力と筋活動レベルに相関関係は見られなかった.すなわち,最大努力を行う動作においてはパワーが大きくても小さくても同じ水準の筋活動であることが示唆された.2)ベンチプレス動作における最大パワーが出現した試行において,ピークパワーの出現位置は動作範囲の70〜80%の位置であった.動作開始時の肩の安定および肩の水平屈曲に大胸筋,三角筋,上腕三頭筋外側頭,上腕二頭筋が貢献していた.肘伸展の作用は動作範囲の60%付近で顕著になり上腕三頭筋長頭の活動がピークとなっていた.このような筋活動パターンは動作遂行時の力-速度関係が変わると変化する.
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