研究概要 |
本研究では,本学に既設のレーザーによる「リアルタイム投擲定装置」を用いて,投擲者自身が身体運動感覚として意識した認識投射角度と実投射角度のずれが,どのように修正されていくのかを明らかにすることを目的として,3年間にわたり以下の事項に取り組むこととした.1.ボール投げの投射角,初速度,飛距離の関係.2.ボール投げ時に投擲者が自分の意識した認識投擲角度と実投射角度の相違.3.ボール投げ時に被験者に与えた投射角度の課題に,被験者が投射角を近づけるプロセス-とりわけ被験者の意識と動作解析との関係.4.やり投げの投射角,初速度,飛距離の関係.5.やり投げ時に投榔者が自分の意識した投擲角度と実投射角度の相違.6.やり投げ時に被験者に与えた投射角度の課題に,被験者が投射角を近づけるプロセスーとりわけ被験者の意識と動作解析との関係.以上の研究計画に基づいて,今年度は,被験者に高校生と大学生のやり投げ男女選手を選び,直前のやり投げ試技によって得られた投射角に基づいて,次の試技の投射角の意図,たとえば「もっと高く投げる」,あるいは「もっと低く投げる」を申告させ,その投擲動作をハイ・スピード・ビデオカメラで撮影し,投擲角意識が投擲中のどの動作によるものかを動作解析によって分析した.その結果,特定の身体動作が投射角コントロールに影響を及ぼしていることが示されなかった,しかし,1試技内で腕の位置が高くなれば,次にタイミングでは低くというように,全体の動作として調整し,いつもだいたい同じ動作にまとめようとしているようであった.次年度は,投擲角度調整と身体動作の関係を更に精査することに加え,投擲動作全体として投射角を調整するメカニズムについてもアプローチする.なお,この研究成果は,2008年7月に開催されるECSS(European College of Sport Science)で発表の予定である.
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