本研究の主たる課題は、重度障害者が継続してスポーツ活動に参加できるために必要な、地域密着型のスポーツ活動のあり方を探ることにある。本年度は、重度重複障害者が地域密着型のスポーツとして継続してスポーツ参加ができている車いすダンスにスポットを当てた。 名古屋市における車いすダンスの活動は、名古屋市障害者スポーツセンターで毎週月曜日に行われ、重度重複障害者も継続して参加している(電動車いす使用者3名)。電動車いす使用者はリフトタクシー(バス)の使用のほかに、駅からセンターまでを自力で移動する。また介助者が不在でも会員同士で助け合うなど、重度障害者の努力と健常者の積極的な介助によって、練習に参加しやすくなっている。またスポーツ参加が継続的に行われている理由として、重度重複障害者、特に電動車いす使用者の練習内容(プログラム)の検討および積極的な実践が挙げられる。具体的には、手動車いすの動きをベースに、電動車いすの動きの特徴を活かした各種目のステップの工夫によって、電動車いす使用者もフォーメーションに参加できるようになったことである。電動車いす使用者へのインタビューからは、大きな負荷をかけずに、非日常的な動作をリズムに合わせて行うことの楽しさ、障害者と健常者の区別なく共に楽しめること、日常で使わない筋肉を積極的に動かすことからリハビリテーションとしても高い効果を挙げている事が実感できるなどが挙げられた。 以上のように、重度重複障害者でもその身体の特性を生かした形でのスポーツプログラムを積極的に考案し、障害者と健常者が共に行えるスポーツの中で行うことによって、スポーツへのモチベーションが高まる事がわかった。
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