本研究は、英国に残存する民俗フットボールの調査を通して、スポーツ史、スポーツ人類学において議論されてきた「伝統」と「近代化」の対立と共存という問題に一つの示唆を与えるとともに、近代スポーツを批判的に検討することにより、21世紀のスポーツのあり方を提示することを目的としている。そのための具体的な作業としては、 (1) まず、現時点で確認されている英国に残存する16箇所のうち13箇所(ゲーム開催日が重なるために4年間では調査しきれないため)のゲームを観戦し、資料収集にあたる。 (2) それらのゲームを整理する視点として、大きく(1)ゲームの成立(2)ゲームの発展過程(3)競技方法・内容(4)ゲームの社会的意味の4項目をもとに、それぞれに細目を設定した。 (3) 整理された内容から民俗フットボールの独自性、類似性を抽出し、その多様性について考察する。 (4) ゲームが残存してきた背景やそのプロセスを考察する。 とした。 文章化された資料が少なく、現地での資料収集がどれだけできるかが重要となるため、文献収集に加え、地元住民にインタビューし、できればアンケートができるまでの関係づくりに努めたい。また英国の民俗フットボール研究者との交流も図り、ゲーム理解に役立てたい。
|