研究課題
基盤研究(C)
平成19年度の本研究で、トレーニングによる全身諸臓器毛細血管活性化を調べるためにGFP(green fluorescent protein)骨髄キメラマウスモデルを用い、以下の研究結果を得た。脳、心、肺、肝、脾、腎、膵、消化管、胸腺、骨格筋等の全身諸臓器の毛細血管に、ドナー骨髄由来内皮細胞の基本的な動態が存在することを、GFPとCD34の連続切片による免疫組織化学染色およびGFPとCD34の二重免疫組織化学染色で確認した。心筋毛細血管では最も多数の骨髄由来内皮細胞が動員されており、骨格筋毛細血管よりも100倍前後の骨髄由来内皮細胞が存在した。心筋周皮細胞様骨髄由来細胞も認められた。心臓弁に多数の骨髄由来内皮細胞および間葉系細胞が存在した。心臓に続いて腎臓毛細血管に多数の骨髄由来内皮細胞が存在した。血液脳関門にも骨髄由来内皮細胞が存在したが、ミクログリア様骨髄由来細胞も出現していた。肝臓、脾臓の類洞に骨髄由来内皮細胞が存在した。大動脈では上行大動脈起始部に骨髄由来内皮細胞および間葉系細胞が存在した。上行大動脈起始部以外の大動脈骨髄由来内皮細胞はごく少数であるが、大動脈周皮細胞に相当する多数の骨随由来樹状細胞が存在した。一方、ドナー骨髄由来の上皮細胞、神経細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞は見られなかった。最後に、8週間から16週間トレッドミルを負荷する長期トレーニングモデルにより、骨格筋毛細血管の骨髄由来内皮細胞は対照に比較し2-3倍多く動員された。以上、トレーニングによる全身諸臓器毛細血管活性化が示唆ざれた。近年、内皮幹細胞治療の大きな可能性が語られ、さまざまな臨床試験が始まっているが、その臨床応用においては骨髄由来内皮細胞(内皮幹細胞)の基本的な動態を改めて考慮する必要がある。
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Tohoku J. Exp. Med. 213
ページ: 341-349