2ヵ年の研究期間中、主に下記の2つの研究を行い、さまざまな新たな知見が得られた。 1.骨格筋の活動量の低下とそれにともなう筋萎縮、ならびに回復時の変化に対する筋線維アポトーシス反応の関連を検討することを目的に、14日間の後肢懸垂直後、およびその後の回復〜14日間におけるラットヒラメ筋線維の変化について検討した。14日間の後肢懸垂直後では、筋線維の有意な萎縮、筋線維1本あたりの筋核数の減少、およびアポトーシス核数の増大が認められた。回復〜14日間では、アポトーシス核数の著しい減少とそれにともなう筋核数、筋線維横断面積の増大が認められた。以上の結果から、後肢懸垂にともなう筋線維の萎縮は、アポトーシスによる筋核数の除去・減少が引き金になったものと推察され、回復期には、アポトーシス陽性反応の低下により、筋核数と線維サイズが回復したものと考えられる。 2.Wistar系ラットヒラメ筋を用い、筋線維破壊後の再生過程における熱ストレスの影響について検討した結果、通常の再生筋線維に比べ熱ストレスを加えた筋線維では、筋線維横断面積の増大が確認された。同時に、筋核数の増加ならびに筋衛星細胞の活性化の促進が認められ、このことが再生筋線維サイズの増大につながったものと推察された。本結果については、現在、論文にまとめ投稿準備中である。
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