研究課題/領域番号 |
18500512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
田巻 弘之 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教授 (40253926)
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研究分担者 |
荻田 太 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (50224134)
齋藤 和人 鹿屋体育大学, 保健管理センター, 教授 (50170494)
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キーワード | 骨梁構造 / 交感神経 / メカニカルストレス / 不活動 / 脛骨 |
研究概要 |
骨強度は骨の量、質、構造の3つの要因に規定されており、骨梁構造はそれに影響する一要因である。骨梁のネットワーク構造は不活動や交感神経活動の影響を受けて劇的に変化する。末梢神経の骨量への影響を検討するために、坐骨神経の切除及び凍結麻、交感神経活動によって下肢を不活動にした脛骨骨梁の形態的特徴について、骨梁の狭小化や断片化に着目してその経時的変化を検討した。坐骨神経切除(不動化)による組織レベルでの形態的変化は7-10日目頃から始まり、それ以降、骨強度にも負の影響を及ぼしているものと推察された。また、骨梁骨の吸収過程において狭小化と断片化の進行程度は段階的に進行し、縦断横断構造の変化過程にも時間的ずれが生じるものと考えられた。さらに、骨と骨格筋の萎縮進行程度は量的時間的に一致せず、両組織間に量的時間的ずれが存在することが示唆された。また坐骨神経凍結法により一過性に不活動となった下肢における脛骨の骨萎縮は1-2週間で急激に進行した。二次海綿骨の骨梁構造は狭小化ならびに断片化するようになるが、その進行は直線的ではなく段階的に進行することが認められた。骨梁構造の断片化率が50%、狭小化率50%の段階までにおいては回復効果が認められ、構造に関しても狭小化の改善に効果があることが示唆された。交感神経活動の亢進が見られる高血圧症ラットにおいて、対象群と比較して骨量の減少が見られた。以上の結果より、術後初期の骨量減少程度は、神経凍結の場合、神経切除と比較して反応性は低いものと思われる。不活動による骨量低下のうち、除神経では吸収系の異常亢進、suspensionでは形成系の異常抑制が強いと言われており、SNはNFよりも吸収系の亢進が強く、骨量減少に影響したのではないかと考えられる。またNFによる再神経支配による骨量回復過程の観察では、骨量の回復増加と一致して骨梁幅が増加し、長さに変化がなかったことから、4週目以降の骨量回復に骨量幅の増大が貢献していることが明らかとなった。不活動からの回復過程において、骨梁幅における構造的可塑性が示唆された。また交感神経活動の過剰亢進は骨量維持に負の影響を及ぼすことが示唆された。
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