研究概要 |
骨梁のネットワーク構造は不活動や交感神経活動の影響を受けて劇的に変化するため、本研究では交感神経を含む末梢神経の骨量への影響を検討するために、坐骨神経の切除及び凍結麻痺によって下肢を不活動にした脛骨骨梁の形態的特徴について、骨梁の狭小化や断片化に着目してその経時的変化を検討した。片側の坐骨神経を凍結麻痺させた一過性の不活動モデルラットを用いて、除神経に続く再神経支配の骨梁構造に対する影響を検討した。11週齢のFischer-344雄性ラットの片下肢を不活動状態にするため、偽手術とともに坐骨神経の切除(SN)もしくは液体窒素で冷凍したステンレス製ロッドを用いて凍結麻痺(NF)を行った。術後0,1,2,3,4及び5週目に脛骨を採取し、骨幹端近位二次海綿骨断面の組織形態学的分析を行った。SN及びNFともに術後約2週目までに骨梁が顕著に喪失した。骨梁面積率は術後3週目まで低下し、NFでは増加して、術後5週目には術前の55%レベルまで回復した。骨梁の幅及び長さは除神経により有意に低下した。NF後5週目の骨梁幅は、NF後3週目のときやSN後5週目のときと比べて有意に大きく回復したが、骨梁の長さは5週目までの期間において変化がなかった。これらの結果より、1)坐骨神経の凍結麻痺では術後2週目までに骨梁の著しい喪失がみられ、2)一過性の除神経とそれに続く回復過程では、骨梁幅においては骨梁構造の回復が見られることが示唆された。
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