研究課題/領域番号 |
18500514
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山倉 文幸 順天堂大学, 医学部, 教授 (20053358)
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研究分担者 |
内藤 久士 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70188861)
高 ひかり 順天堂大学, 医学部, 助教 (60338374)
池田 啓一 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (90453597)
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キーワード | 一酸化窒素 / 活性酸素 / ニトロ化ストレス / 自発運動トレーニング / 自然発症高血圧ラット |
研究概要 |
本研究は、ラットを対象とし自発運動トレーニングがタンパク質の酸化・ニトロ化修飾に及ぼす影響を、プロテオミクスによる翻訳後修飾の解析法を用いて解明する事を目的として開始された。平成19年度は自然発症高血圧ラット(SHR)の高血圧発症(15週齢)後の10週間の自発運動トレーニングを設定し、ニトロチロシンが25週齢SHRの非運動群で増加し運動群では有意に減少する事の裏付けとして、心臓の可溶性画分ではNOS活性が25週齢の非運動群で上昇し運動群で減少していたこと、またミトコンドリアのMnSODが25週齢の運動群で特異的に上昇していた事を見いだした。平成20年度は、ニトロチロシンが生じているタンパク質のプロテオミクス解析を目指し。2次元電気泳動後、抗ニトロチロシン抗体を用いて反応させ、そのスポットをLC/MS/MSで解析した。しかしながら、ニトロ化されたチロシンを含むペプチドは同定出来なかった。そこで、SHRの他の臓器での高血圧の10週間持続とその間の自発運動トレーニングによるニトロ化ストレスと関連酵素の消長の検討を進めた。その結果、大動脈血管においてはその核画分で、ニトロチロシンが25週齢の非運動群で増加し、運動群で減少するという心臓と類似の現象を見いだした。一方、大脳皮質では、ニトロチロシンの消長に有意な差が無かった。大動脈血管においては、ミトコンドリアのMnSOD量、活性とも25週齢で減少し運動群で上昇するという、これも心臓類似の結果を得た。一方、大脳皮質においては、MnSODが運動の有無に関わらず25週齢で上昇していた。これは、脳では高血圧持続に伴う酸化傷害に対しより厳密な防御機構が備わっている事を示していると思われる。このように、脳以外の循環器系臓器においては、高血圧の持続はニトロ化ストレスを引き起こし、自発運動トレーニングは抗酸化酵素を誘導することで、そのストレスを軽減する事が判明した。
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