研究課題/領域番号 |
18500515
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
馬詰 良樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40056990)
|
研究分担者 |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20179675)
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30271315)
|
キーワード | 疲労 / 骨格筋 / カルシウム / 筋節長 / 静止張力 / アクチン / ストレッチアクティベーション / クロスブリッジ |
研究概要 |
目的)筋疲労による張力抑制効果の作用点の(1)カルシウムによる収縮活性化過程、(2)クロスブリッジの自己触媒的な結合による活性化過程のうち、(2)の自己触媒作用が筋節構造内を伝播する力を介した自己媒効果かクロスブリッジの結合そのものによる化学的な効果かを分けるために、外来性のアクチン(ウサギから精製)を加えることにより力発生のないクロスブリッジ相互作用を実現し、張力測定・mmR解析およびX線回折により筋活性化の程度をみつもる。 結果)溶液状態の外来アクチンの添加により、筋節内での力伝播がなくてもクロスブリッジ相互作用による筋の活性化がみられた。このことから、クロスブリッジによる筋の自己触媒的活性化には筋節内を力が伝播することは必須ではないことがわかった。次に、異なる筋節長で外来アクチン溶液を作用させることで、静止張力の大きさが自己触媒作用にあたえる影響を調べたところ、筋節長による活性化は明らかでなかった。これらのことから、クロスブリッジによる自己触媒的活性化作用では力発生による筋節内のひずみの寄与はあまり大きくないことが示唆された。 意義)骨格筋の重要な性質として伸展による筋活性化(「ストレッチアクティベーション」)が知られているが、この機構はクロスブリッジの自己触媒的活性化を介するものではなさそうであることがわかった。このことは、弱い力でもクロスブリッジの化学状態を制御することで高い筋活性化状態を実現し、効率的な収縮を起こし疲労を抑制することができる可能性を示す。
|