牛腎ミクロソーム/NADPH反応溶液中に生成するラジカル種の同定、金属イオンの影響および金属キレート剤の影響について検討した。 牛腎ミクロソーム/NADPH反応溶液にADP (10mM)およびFeCl3 (0.17mM)を添加した反応溶液(牛腎ミクロソーム/NADPH/ADP/FeCl3反応溶液)をHPLC-EPR測定したところ、P1 (保持時間29.4分)、P2(保持時間32.4分)およびP3(保持時間46.6分)の3つのピークが検出された。これらの3つのピークを質量測定すると、P3については質量数266m/zが、P2およびP1については質量数282m/zが得られ、P3はペンチルラジカル、P2とP1はそれぞれヒドロキシペンチルラジカルであると同定された。 牛腎ミクロソーム/NADPH反応溶液に種々濃度の金属イオン(0、10、50、100μM)を添加し、EPR測定をおこなった。添加した金属イオンは、モール塩、塩化銅、塩化亜鉛、塩化鉄(III)、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムであった。モール塩ではEPRピーク強度がわずかに増加し、塩化銅および塩化亜鉛では減少した。塩化鉄(III)、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムでは変化が見られなかった。 牛腎ミクロソーム/NADPH反応溶液に種々の金属キレート剤(100μM)を添加したときのEPRピーク高の変化を調べた。添加した金属キレート剤は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)およびDFO(デフェロキサミン)であった。EDTA、DTPAおよびDFOにおいてはラジカル反応が消失し、NTAにおいてはEPRピーク高が35.8%増加した。
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