研究概要 |
診療放射線技師の人員配置については、医療の質および安全を確保し、また能力を十分に発揮させることを配慮しなければならない。本報告では、モダリティによる配置基準を提案したが、画像に含まれる個人情報の漏洩事故も報告されていることから、担当する医療機器の数を基準とした配置、照射録(患者数)を基準とした本報告のような配置、被ばく線量を基準としたローテーションによる配置など数種類のパターンを考案し、病院の実状に応じたものを選択する方法も望ましいと考えられる。また、配置基準を決定した場合も業務の内容や高度医療機器の開発・導入が著しい現状から、3年程度をめどに人員配置基準を見直す作業が必要と考えられる。 次に、診療放射線技師の需要と供給のバランスについては、診療放射線技師に関する既存の統計データ(医療施設静態調査や医療六法における統計資料、全国診療放射線技師教育施設協議会による調査、都道府県放射線技師会の協力により推測し41,541人と仮定して年齢別就業診療放射線技師数などを検討した。団塊世代の問題については技師養成施設が少数であったことから供給不足はないと考えられ、また若年層の分布はやや少なくなったが、病院への就業率の低下や進学率の増加、医療施設外への就業率を考慮するとほぼ適切に算出できているではないかと思われた。なお、平成25年に修業年限が4年に完全移行した場合の診療放射線技師数については、一時的に減少するもののその後は過不足無く需要と供給のバランスが保たれると考えられた。
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