研究課題
基盤研究(C)
【目的】小学校教育支援活動(以下、教育支援活動)が高齢者と児童の心身の健康に及ぼす影響について明らかにする。ここでは、ベースライン時と開始から1.5ヶ月後の特徴について報告する。【対象と方法】介入群として、兵庫県姫路市のN小学校区に在住する60歳以上者(男3名、女3名)と同小学校に通学する1年生から3年生全員111名を選んだ。対照群として、同校区に在住する65歳以上者の62名と隣の校区であるJ小学校に通学する1年生から3年生全員219名を設定した。介入群の60歳以上者は小学校教育の支援者として、担任の教師の指示・指導のもと、週1日から3日小学校の種々の活動・授業に参加した。教育支援活動は2007年2月初旬から始まり、学年末の3月中旬にいったん終了した。調査内容として、小学生に対しては「家族関係」「学校生活」「友人との関係」「地域の大人との関係」等を調査した。高齢者に対しては「健康度自己評価」「自尊心尺度」「各種体力テスト(握力、開眼片足立ち時間、ファンクショナルリーチ、5m歩行時間等)」「日常生活動作能力(ADL)」「抑うつ尺度」等を選んだ。ベースライン時との比較において、経過期間が1.5ヶ月と短かったため、60歳以上者の介入群に対してのみグループインタビューを実施し、教育支援活動に対する意識調査を行った。【結果と考察】各質問項目に対するグループインタビューの回答結果をまとめると、教育支援活動が、参加した高齢者の「精神的満足感」や「社会的ネットワーク」の向上に結びついていたことが推察され、参加者の心理社会面に良い影響を与えていることが示唆された。【結論】今後、長期にわたって追跡をしていく予定であるが、60歳以上者にとって「教育支援活動」は心身に良い影響を与えうる可能性が示唆された。児童に及ぼす影響と合わせて、注意深く調査・検討をしていきたい。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
厚生の指標 53・10
ページ: 7-12
日本公衆衛生雑誌 53・9
ページ: 702-714
心とからだの健康 10・5
ページ: 68-70