研究課題
【目的と意義】小学校教育支援活動(教育支援活動)が中高齢者と児童の心身の健康に及ぼす影響について明らかにした。【対象と方法】介入群として、兵庫県姫路市内のA小学校1年生から3年生と新1年生の138名、コントロール群としてB小学校1年生から3年生と新1年生の242名、計380名を選んだ。中高齢者は介入群の校区に在住する60歳以上者であり、公募に応じた6名を選んだ。途中1名が病気により不参加となり、2名が新規に参加した。最終的に教育支援活動を継続できたのは7名であった。教育支援活動が児童へ及ぼす影響は、「健康度自己評価」「学校生活」「友人関係」「親との関係」等について、記名自記式アンケート調査法により明らかにした。中高齢者に対しては「健康度自己評価」「自尊心尺度」「各種体力テスト(握力、開眼片足立ち時間、ファンクショナルリーチ、5m歩行時間等)」「日常生活動作能力(ADL)」「抑うつ尺度」等を調査した。調査は2007年2月、2008年1月、2009年2月に実施された。【結果と考察】1年生において、「学校やクラスのルールを守る」といった規範意識に関わる得点がコントロール群で有意に低下し、介入群では有意に高まっていた。新1年生において、介入群の不定愁訴の出現率がコントロール群のそれより有意に低かったことから、児童の健康状態は介入群の方がコントロール群より良好であることが示唆された。「教育支援活動」が、60歳以上者の心身の健康に良い影響を与えていることが示唆された。担任の先生の「1年間にわたる高齢者による教育支援活動」に対する印象は、良好であった。【結論】2年間にわたる高齢者による教育支援活動が、子どもの規範意識に良い影響を及ぼし、参加した高齢者ボランティアの心身の健康にも良い影響を及ぼしていることが示唆された。
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兵庫県立大学環境人間学部研究報告 11
ページ: 49-54
International Journal of Geriatric Psychiatry Jan 8. ([Epub ahead of print])
http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/uchida/