【目的】行動科学に基づき食と運動の行動変容および生活習慣病危険因子を改善する「行動変容型プログラム(行動変容群)」を開発し、地域保健事業で従来実施されてきた「知識提供型プログラム(知識提供群)」との比較を行うことにより、プログラム内容の違いがプログラムの有効性の違いをもたらすかについて検証することを目的とした。 【方法】対象者は横浜市磯子区在住の40〜70歳の男女で、インフォームドコンセントが得られた100名である。本研究は無作為化比較試験とし、対象者を行動変容群(50名)と知識提供群(50名)に割り付け々両プログラムの構成は介入量(1回/月、2時間/回、4ヶ月間)と介入方法(集団介入)を同じにして、その内容(行動変容型、知識提供型)のみを異なるものとした。 【結果】介入によって歩数は行動変容群では増加したのに対して、知識提供群では低下し、有意な交互作用(群×時期)が認められた。余暇の身体活動量についても行動変容群では増加したが、知識提供群では低下した(交互作用P:0.09)。リスク因子については、全対象者ではインスリン抵抗性(HOMA-IR)は両群とも有意な変化は認められなかった。BMIとウェスト周囲径は両群とも有意に低下したが、共に交互作用は認められなかった。しかし、BMI24以上の者では、HOMA-IRとBMIは行動変容群では減少し、知識提供群では増加し、共に有意な交互作用が認められた。 【結論】行動変容型プログラムは知識提供型と比較して、介入量や介入方法を同じにしても、身体活動量を増やし、肥満者の肥満度とインスリン抵抗性を改善する。本研究は、生活習慣の改善に対して行動変容型が知識提供型よりも優れていることを日本人で実証したはじめての研究である。平成19年度は、両群を追跡して介入終了後における介入効果の持続性について検討を進める予定である。
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