研究概要 |
【目的】個人の行動変容を促すには、従来の知識提供型プログラムに比べて、行動科学にもとづく行動変容型プログラムがより有効であるかについて明らかにする。 【方法】対象者は40〜70歳の男女100名であり、行動変容型プログラム群50名(行動変容群)と知識提供型プログラム群50名(知識提供群)とに無作為に割り付けた。行動変容型プログラムでは、目標設定やセルフモニタリングなどの行動変容技法が採用された。知識提供型プログラムでは、医師・健康運動指導士・栄養士が疾病予防や食事、身体活動についての講義と実習および体力測定を行った。両プログラムとも4カ月の集団教室であり、頻度(月1回、計4回)・時間(1回2時間)は同じであった。1次評価として身体活動量と栄養摂取量を、2次評価として肥満度・糖代謝・インスリン抵抗性・脂質代謝・血圧を介入前後(平成18年度実施)および介入終了から12カ月後(平成19年度実施)に測定した。 【結果】歩数と余暇時身体活動量については、群×時期の交互作用が認められた。栄養摂取量については、総摂取エネルギー量・脂質摂取量・野菜摂取量において時期の主効果が認められたが、交互作用は認められなかった。肥満度・糖代謝・インスリン抵抗性・脂質代謝・血圧においては、いずれも交互作用は認められなかった。BMIが25kg/m^2以上の者について検討したところ、BMI、ウエスト周囲径、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)で、有意な交互作用が認められた。いずれも行動変容群で有意により減少し12カ月後も維持していた。脂質代謝と血圧の指標の変化量においては,有意な群間差は認められなかった。 【結論】行動変容型プログラムは知識提供型と比較して、介入量(期間・時間・頻度)が同じでも、身体活動量を促進し、肥満者の肥満度とインスリン抵抗性を改善する。また、その効果は介入終了12カ月後まで維持される。
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