研究概要 |
研究1年目の今年度は、大学入学直後の前期に「生活習慣全般の改善」を、夏休み明けの後期に「身体活動の増強」を各々ねらいとした介入プログラムを実施した。また、大学生活スタイルがある程度安定した7月における生活習慣が、修学状況とどのような関係にあるのかを検討した。生活習慣の評価には、1)健康度・生活習慣診断検査(DIHAL;徳永,2003)、2)朝食摂取頻度、3)身体活動評価表(PAAS;涌井・鈴木,1997)を用いた。DIHALは、4尺度(健康度、運動、食事、睡眠)・12因子(身体的健康度、精神的健康度、社会的健康度、運動行動・条件、運動意識、食事のバランス、食事の規則性、嗜好品、休息、睡眠の規則性、睡眠の充足度、ストレス回避行動)から構成される。PAASは、活動強度別に身体活動量を測定できる自記式の質問表である。さらに、初年次前期の取得単位数と評定平均の積を"修学状況指数"として求め、生活習慣各スコアとの関係を調べた。 その結果、1000名を越す比較的大規模なサンプルから、大学初年次前期における生活習慣と修学状況が正の相関関係にあることが明らかとなった。中でも、「食事の規則性」「睡眠の規則性」「朝食摂取頻度」スコアにおいて、修学状況の良好な群と劣悪な群との差異が顕著にみられた。また、修学状況と正の相関を示す身体活動は「運動・スポーツ」ではなく、それよりも低い強度の「日常活動性」であることも明らかとなった。これらの結果は、大学期の良好な修学状況を構築するためには、「食事や睡眠を軸とした規則的な生活リズムの維持」と「日常生活における低い強度の身体活動」が重要であることを示唆するとともに、この点を強調した健康教育を大学入学直後から教育の枠組みの中で実施する必要性を指示している。
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