若年女性においてはやせ志向性が強く、自己の体型を過大に評価する者が多い。このような体型の不適切な認識が月経痛に悪影響を及ぼしているのかを検討するために、平成18年10〜12月に京阪神の4大学の女子学生993名を対象に自記式無記名のアンケート調査を行った。調査内容は、月経状況、自覚症状、生活習慣、身長・体重、やせ志向性、自尊感情・自己効力感だった。 有効回答した832名を対象にSPSSを用いて統計的解析を行った。有意水準は5%とした。体型を低体重群(BMI<19.8)、普通群(19.8≦BMI<24.2)、過体重群(BMI≧24.2)に分類し、低体重で「少し太っている」、「太っている」、普通で「太っている」と自己評価した者を体型の過大評価群、それ以外を適切評価群と分類した。月経痛以外の月経随伴症状、自覚症状、悪い食習慣、やせ志向性、自尊感情、自己効力感に関する質問項目の回答を点数化し各々合計点を算出して、体型の自己評価との関連を検討した。 解析対象者中の低体重群、普通群、過体重群は各々38.9、54.0、7.1%であった。過大評価群は、低体重群、普通群で各々35.5、36.5%、全体では33.5%いた。過大評価群は適切評価群に比較して月経痛のある者の割合が高い傾向にあり(p<0.1)、月経痛以外の月経随伴症状得点は過大評価群が有意に高かった。自覚症状、悪い食習慣、やせ志向性の各得点は過大評価群が有意に高かった。一方、自尊感情と自己効力得点は過大評価群が有意に低かった。自尊感情、自己効力得点は自覚症状、悪い食習慣、やせ志向性の各得点と有意な負相関が認められた。 以上の結果から、体型を過大に自己評価している者は、自尊感情が低く、また自己効力感が低下して適切な健康行動がとれないために健康状態が不良で、月経痛などの月経随伴症状もその反映であることが示唆された。
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