研究概要 |
今年度は、安静時の血圧と皮膚から放出される一酸化窒素(Nitric Oxide; NO)濃度との関係を明らかにしようとした。健康な男子大学生16人と女子大学生17人を対象とし、安静時に右人差し指から皮膚ガスを採集し、化学発光検出器を用いてNO濃度を測定した。また、皮膚ガス測定前に、心拍数と血圧を右腕から測定した。血圧は、女性の値に対して男性の値が高い傾向があり、収縮期血圧(Systolic blood pressure; SBP)と脈圧(Pulse pressure; PP)については有意な差が認められた。指から採集した皮膚ガスNO濃度と血圧については、男性では収縮期血圧(Systolic blood pressure; SBP)、拡張期血圧(Diastolic blood, pressure; DBP)と平均血圧(Mean blood pressure; MBP)で各々有意な正の相関関係(p<0.05)が認められたが、女性では全ての血圧測定項目で有意な相関関係は認められなかった。一方、男女全体ではSBPと脈圧(Pulse pressure; PP)でお各々有意な正の相関関係(p<0.05)が認められた。 以上、本研究では男女合わせた全体としては皮膚ガスNO濃度と血圧測定項目の間に正の相関関係が認められ、皮膚ガスNO濃度が血圧の変動を反映する可能性が示唆された。しかし、この傾向は男性で強く、女性では皮膚ガスNO濃度と血圧測定項目との間に有意な相関関係は認められなかたことから、男女間で異なった傾向が認められた。
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