研究課題
基盤研究(C)
メタボリックシンドローム(MetS)および発症予備軍を対象として、腹囲をはじめとしたさまざまなMetSリスク因子に加えて、炎症マーカーおよびサイトカインやアディポネクチン(APN)などの血中レベルを測定し、MetSリスク因子や腹部肥満との関係を明らかにし、健常人のMetS発症高リスク群の予測因子を明らかにすることを目的として本研究を実施した。本邦におけるMetS診断基準の必須項目である腹部肥満群(ウエスト径>85cm)において非肥満群(ウエスト径く85cm)と比較し、すべてのMetS危険因子は有意に高い値を示し、また、血中高感度CRP(hs-CRP)およびIL-6レベルは有意に高く、APNレベルは有意に低かった。さらに、腹部肥満群においてはMetS危険因子集積に比例して、hs-CRP、IL-6レベルは有意に増加した。しかしながら、非肥満群ではMetS危険因子が集積しても炎症マーカーの増加を認めなかった。次に、頸動脈工コーにより計測した頸動脈中内膜肥厚度(IMT)に対するMetSの関与につき検討を加えた。男女ともMetSリスク因子の集積に伴いIMTの増大が認められたが、女性においてより強くMetSリスク因子の影響を受けていることが明らかとなった。また、男性においては血中IL-6レベルがIMTと相関を示し、動脈硬化進展にIL-6が強く関わっていると考えられた。以上の結果より、MetSリスク因子のなかでも特に腹部肥満が強く病態に関与している可能性が明らかにされ、BMI(body mass index)を用いた肥満の診断に比べ、腹囲を必須項目とした本邦のMetS診断基準の有用性が本研究により明らかにされた。
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