メタボッリクシンドローム等の生活習慣病に対する運動療法としては一般的に有酸素運動が奨励されている。しかし我々の先行研究にて有酸素運動を日常生活に取り入れることは困難であることが明らかとなった。そこで我々は簡単に習得でき、日常生活に簡単に組み込む事が可能である東洋的運動の1つであるスワイショウに着目し、その効果についての基礎的検討を行った。50名の運動習慣のない健常者を対象に、19名はコントロール群とし16名は2ケ月間有酸素運動を施行させ、15名は2ケ月間東洋的運動スワイショウを施行させ介入前後で24時間心電図、並びに24時間血圧を測定し、それぞれの運動効果について比較検討を行った。コントロール群では2ケ月、24時間心拍、並びに24時間血圧、自律神経活動のいずれの指標においても変化なかった。一方有酸素群では24時間心拍が有意に低下し、昼間の交感神経活動が低下、副交感神経活動が増加したが、血圧に関して効果は認められなかった。一方スワイショウ群では心拍数の低下は有酸素群に比べ顕著ではなかったが、有意に血圧を低下させた。以上の結果より運動の種類によって効果が異なる事があきらかとなり、メタボッリクシンドロームを中心とする生活習慣病患者の中で高血圧を主体とする患者においては東洋的運動を取り入れることが有効である可能性が示唆された。
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