研究概要 |
高齢者を対象にして,以下の2群について1週間当たり2回の頻度で,1回あたり1.5時間の筋力向上のための指導事業を3ヵ月間にわたり実施した.1.トレーニングマシーンを積極的に活用し,上肢,体幹,および下肢の筋群を主働筋としたトレーニング指導事業(以下,MT群と呼ぶ),2.MT群が実施したマシントレーニングをシミュレーションし,自宅において容易に実施可能な自体重を負荷とした個別レジスタンストレーニング指導事業(以下,PT群と呼ぶ) 5月から6月にかけて運動指導事業に対する募集と説明会を行い,前値測定を行った後,7月以降に指導を開始した.各自治体の状況によって,事業の終了時期が異なっていたが,2月に全事業が終了し,効果判定のための調査・測定を実施した。測定項目は,形態,体組成,体力,歩行能力,主観的健康度・満足度・抑うつ度等であった. MT群においては,等尺性膝伸展筋力,FRテスト,上体起こし,壁立ち腕立て伏せ,脚外転運動,6分間歩行および10m障害物歩行テストの成績が有意に改善した.一方,PT群では,壁立ち腕立て伏せ,脚外転運動,10m障害歩行テスト,最大歩行速度に有意な改善が認められた. 今年度は計画通りの調査・研究を実施したが,特定高齢者数が当初の想定数を大幅に下回った.特定高齢者の認定作業は,各自治体に設置された地域包括支援センターで行われているが,ここでの作業が予想以上に伸展しなかったことが原因している.このことは全国的傾向であるが,本研究ではより多くのサンプル数を確保し,信頼性の高い結果を得るために次年度においては,参加者の追跡調査を行うことと併行して,今年度と同様の運動指導事業を再度実施し,調査・測定を行っていく予定である.
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