研究課題
【目的】本研究は、異なった年齢層、異なった危険因子を有する対象者に低圧環境下で運動トレーニングを行わせ、心血管系、および糖・脂質代謝の機能改善に対する有効性の検証を行い、特殊環境下を用いたメタボリックシンドローム改善のための運動プログラムを確立することを目的とした。【方法】被検者は、青年群A(7名:週3回)、同群B(6名:週3回)、中年男性群C(9名:週3回)、同群D(7名:週3回)、閉経後の中年女性で危険因子を有する群E(8名:週4回)、同群F(8名:週4回)の6群とした。A、C、E群は平地環境で、B、D、F群は2000m相当の低圧環境下において、50%V02max相当の強度で1回30分(暴露は2時間)のトレーニングを、A、B群は4週間、C〜F群は8週間行った。トレーニング前後に、同一最大下運動時の循環応答、血液性状、身体組成について測定し、効果を評価した。【結果及び考察】トレーニング後、最大下運動中の循環応答は、A〜C、E群では有意な変化が認められなかったが、D、F群では最低血圧、平均血圧の有意な低下が認められた。また、早朝空腹時の血糖値、糖負荷テスト後の血糖値およびインシュリン濃度についてみてみると、F群のみ有意なインシュリン感受性の向上が認められた。さらに、F群では内臓脂肪厚、体脂肪率、ウエスト周囲径についても有意な低下が認められた。一方、血中脂質、皮脂厚については全群有意な変化は見られなかった。以上の結果より、週3回の頻度の場合、4週間では効果は得られず、8週間行うと低圧群のみ血圧低下の効果が認められた。また、週4回行った中年女性群においても、低圧群のみ血圧、体脂肪率、ウエスト周囲径の低下、インスリン感受性の向上などの効果が認められ、低圧環境下における運動の有効性が示唆された。ただし、本結果の違いがトレーニング頻度や期間の影響か、対象者の違い、リスクファクター保有の有無の影響かなどについては本結果から言及できないため、今後の検討課題として残った。
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