研究概要 |
1.ハイリスク高齢者を対象として、機能的体力(ADLを反映するような基礎的体力)テストを実施し、彼らに対する本検査項目(バランス歩行、缶置き換え作業)の実行妥当性の検討を目的とした。 2.初年度(平成18年度)は、虚弱高齢者群(在宅高齢者、ケアハウス居住者、デイサービス利用者)、計80名(男性24名、女性56名)に対して、(1)事前健康アンケート調査(ADL : Barthel index,老研式活動能力指標、GDS, SF-8,転倒歴)と(2)形態・体力測定(身長・体重、血圧、簡易知的評価尺度、握力、開眼片足立ち、缶置き換え作業、バランス歩行、膝伸展力、5m歩行)を実施し、両者の指標群との相互関連性を検討した。調査に際しては、対象者本人とその家族から同意書の得られた者のみを、調査協力者と認め、実際の調査と測定を行った。体力の測定前には、看護師等による健康診査(血圧測定と問診)を行い、健康状態の良好な者のみを当日の測定対象とした。結果、1)機能的体力測定項目の「バランス歩行」と「缶置き換え作業」は、新体力テスト(文科省、1999)の高齢者用の測定である「握力」と「開眼片足・立ち」並びに「膝伸展力」に有意な中程度の相関(r=0.3〜0.5;p<.05)を示し、一定の構成概念妥当性が実証された。2)機能的体力測定項目は、生活機能の自立度を測るADL指標(Barthel index,老研式活動能力指標)とも有意な中程度の相関(r=0.3〜0.6;p<.05)を示し、臨床的妥当性が実証された。次年度は、これらの結果を踏まえて、機能的体力2項目に関する自立〜要介護度別(要支援1・2,要介護度1)別の基準値を策定するための大規模な調査測定を実施する。
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