研究課題
基盤研究(C)
肥満関連遺伝子の多型と有酸素能がメタボリックシンドローム(MS)に対して、どのように関連するのかについては知られていない。本研究は、肥満関連遺伝子多型、身体組成、MSのリスクファクターおよび最大酸素摂取量との関係について検討し、有酸素能が肥満関連遺伝子多型の有無と独立してMSに関連するかどうかについて検証することを目的とした。被験者は、健康な成人男女754名とした。全被験者は、問診票の記入および安静時血圧の測定後、採血を行い、中性脂肪、HDLコレステロール、血糖値を測定した。最大酸素摂取量は自転車エルゴメーターを用いた漸増負荷法によって測定した。身体組成の測定は、DXA法によって行った。PCR-RFLP法によって、β3アドレナリン受容体(ADRB3 64 T>A)、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ 1431 C>T、Pro12Ala)、脱共役タンパク1(UCP1 3826 A>G)、脂肪酸結合タンパク2(FABP2 54 A>T)の遺伝子多型を解析した。最大酸素摂取量(VO2Peak)は、男女ともMSの有無と有意に関連し、MSのリスクスコア(Z値)は、男性で最大酸素摂取量が32ml/kg/min、女性で30ml/kg/minを下回った場合に有意な増加を示した。中高齢者では、PPARγの遺伝子多型の有無にかかわらず体力はMSのリスクと関連し、PPARγの遺伝子多型を保持している中高齢被験者は有酸素性能力を高めることがMSの予防に重要であることが示唆された。
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