ワクチン接種勧奨の有無による水痘発症状況とその経済的影響について調査した。介入群は水痘未罹患かワクチン未接種で水痘ウイルス抗体陰性の児に医師、看護師が出向して水痘ワクチン接種を行った3保育園。非介入群3保育園には特別な勧奨は行っていない。結果は以下の通りである。1.水痘発症の相対危険率(罹患者/接種者/罹患者/未接種者)は、介入群0.289、非介入群0.453であった。2.発症率=調査中罹患者数/(調査前接種済未罹患者×0.2+調査前感受性者数)×100として算定した(水痘ワクチン接種後罹患率を20%と仮定)ところ、介入群32.7%、非介入群40.8%であった。3.介入群における接種後罹患は接種104例中16名(15.4%)、非介入群では接種16例中3名(18.8%)であった。4.未接種者の罹患率(調査中に未接種罹患した者/調査前未接種未罹患者×100)は介入群42/183×100=23.0%、非介入群70/185×100=37.8%であった。5.介入群で測定した抗体価gpELISA(陽性>50)は接種者平均723.1、接種後罹患者例平均151.4であった。6.介入接種における抗体陽転率は78.3%であった。このうち、抗体陰性者は追加接種により全員陽転化した。7.1人当たり家族看護費用は介入群31052円、非介入群47168円でその差は16116円(p=0.0000)であった。8.薬価は1人当たり平均介入群2818円、非介入群2896円であった。総額では介入群81725円、非介入群194001円、差額112276円であった。以上より、介入群における水痘発症率は低く、未接種者の罹患率は低いことから集団予防効果があると考えられた。看護費用と薬価では介入群のほうが安価であった。水痘発症状況及びワクチンの費用対効果について更に解析検討を進めて順次成果発表の予定である。
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