研究概要 |
イネモミガラに含まれるモミガラ由来ペルオキシダーゼを利用して,環境負荷低減型の酵素系漂白剤を開発するために、粗酵素の抽出法の検討,濃縮法の検討,反応条件の再構築等を検討し,実用化の可能性の糸口とすることを目的として,本年度は以下の検討を行った。 1:粗酵素の抽出、分離(森田) ・効率的にモミガラ由来ペルオキシダーゼを得るために,抽出粗酵素の活性の品種間差異を調べた。イネモミガラの鮮度を統一するために,同一地域(北海道)の異なる品種と同一品種で異なる産地のイネモミガラを入手し,抽出粗酵素をグアヤコール法で比較検討下結果,ななつぼしからの抽出酵素が最も活性が高かった. ・イネモミガラの鮮度が抽出粗酵素の活性に及ぼす影響を調べるために,収穫直後の本年度9月末から来年度10月までの期間でイネモミガラの保存方法等による抽出粗酵素の活性を継続して測定した。保存してあるイネモミガラからその都度抽出した抽出粗酵素の活性は,現在までに70%減少した.従って,効率的にペルオキシダーゼを抽出するためには,収穫後の鮮度の高いモミガラを用いる必要がある. ・効率的な抽出粗酵素の精製分離方法の検討を行った。精製操作としては,硫安分画,ゲルろ過による処理などを行った.硫安分画はその後の透析処理が必須となるため,高効率が得られにくい.また,ゲルろ過でも共存物質の除去が十分でなかったため,イオンクロマトなどを併用する必要があることがわかった, 2:粗酵素の濃縮(予備実験)(森崎) 抽出した粗酵素を濃縮する(来年度)ため,有機溶媒による濃縮方法の検討として,もみがら由来ペルオキシダーゼの有機溶媒特性を調べた。イソプロパノール,メタノール,エタノール共存下でもみがら由来ペルオキシダーゼの安定性を検討したしたところ,20%イソプロパノールでは48時間安定であった.
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