研究概要 |
1.上肢運動機能に不自由がある場合の装身具の装着について-バッグ,アクセサリーを中心に- 被験者は利き手が異なる若年女子2名とした。試料はショルダーバッグとコサージュとした。被験者の上肢を,サポーター等を用いて以下の2条件で拘束した。条件(1):肘・手首の2箇所を拘束,条件(2):肘・手首・指先の3箇所を拘束。拘束なしも入れて3つの拘束条件を設定し,試料の装着およびはずす動作を行わせビデオ撮影を行った。その動画をPCに取り込み分析した。その結果,ショルダーバッグの装着では左利きの被験者はどちらの上肢を拘束されても両上肢を使おうとする状態がみられた。しかし,右利きの被験者は左上肢を拘束された揚合には右上肢のみで装着動作を行うという違いがみられた。コサージュ装着ではピンをさす側の上肢の動きと衣服を押さえる側の上肢の動作域および衣服の伸びについて考慮する必要があることがわかった。 2.上肢運動機能に不自由がある場合の衣服の着装について-ニット素材を中心に- 被験者は標準的な体型の若年女子3名であった。試料は4枚のニット素材のシャツ(長袖,すべてかぶり型,1種はタートルネック)と同じくニットのカーディガンとセーターであり,1枚あるいは2枚の重ね着の着脱を行わせた。また実験条件として「拘束なし」と「拘束あり(肘と手の第一指を拘束)」の2種類を設定し,被験者の正面と右斜め前方向からビデオカメラで撮影を行った。その画像をパソコンに取り込みソフトにより分析を行った。結果として,上肢運動機能に不自由がある場合の衣服の着脱には伸縮性がありながらも適度な張りもある素材が有効であることが確認できた。上肢の動きや身体の傾きにより衣服が伸ばされ,それが戻る際の反発を利用して着脱が行われている状況が把握できた。
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