研究概要 |
平成18,19年度の研究で、小学生において生活習慣の未確立は、睡眠評価や日中の生活の集中力を低下させ、イライラ感を増加させる等の生活の質を低下させることや、自律神経機能の働きに影響すること、またその傾向が小学校低学年よりも、高学年で著しいことなどを明らかにしてきた。本年度はさらに生活習慣と全国学力調査の結果や、4教科テストの結果の関連を分析することによって、学力に及ぼす影響を詳細に分析した。また生活習慣の乱れによる起床直後や朝の気分の低下を改善することが子ども達のQOL向上につながると推察し、起床前漸増光照射照明器具を用いて、日照時間の短い冬期に協力承諾家庭35家庭で生活観察記録を行い分析を行った。 平成19年と20年に全国学力調査を受けた小学6年生160名について、この調査の結果と、富山県独自の小学校教育研究会の4教科テストの結果を総合して、生活習慣調査との関連を分析した。160名の教科毎の得点を成績上位、中位、下位群の3群に分けて生活習慣とクロス集計を行い、カイ二乗検定を行ったところ、次のような教科毎の関連が認められた。 国語は4教科中最も多くの生活習慣項目と関連があり、とくに睡眠習慣、規範意識、家族関係、自尊感情等と優位に関連していた。算数は睡眠時間をはじめとした食生活や健康状態等の体調との関連が優位であった。社会科や理科については睡眠習慣との関連はあまり認められず、むしろ衛生習慣や友達関係等との関連が認められた。このことから小学生期の学力については、生活習慣の確立の影響がとくに国語教科に現れやすく、基本的な生活づくりと国語の理解が重要な時期であることも推察できる。また、起床前漸増光照射による覚醒誘導効果は、起床時や朝の気分を改善し、日中の集中力を上げる等の一定の生活の質を改善する効果が認められた。
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