研究概要 |
平成20年度は、1980年代以降の高校教科書「家庭一般」を対象に、今までと同じ「4つの視点」から記述内容の経年変化を分析し検討した。分析対象の教科書は、1982年度用家庭一般6冊(第5次)、1994年度用家庭一般7冊(第6次)、2007年度用家庭総合10冊(第7次)、合計23冊である。衣・食・住の領域ごとの分析結果は省略するが、以下の点が明らかになった。(1)領域によって項目ごとに記述数の多寡はあるが,総じて第5次には記述数が少なく、第6次で記述数が増え、第7次ではさらに記述数が増えていた。(2)視点1の「サスティナブルな暮らしを妨げている実態についての記述(生活課題の自覚)」は,先人の英知に学び、現状の課題分析をする基礎であり、サスティナブル視点でこの記述が充実することは重要なことである。(3)視点2の「個人レベルのサスティナブルな暮らし方についての記述(個人的解決)」は,問題解決学習を重視する家庭科の教科書としては重要な課題であり,微増ではあるがサスティナブル視点での記述数が増えていることは評価できる。(4)また,第5次まではきわめて少なかった視点3の「サスティナブルな暮らしの実現をめざす社会的な動きについての記述(社会的解決)」が、第6次・第7次と増えていることは注目できる。(5)さらに最も注目すべきは、第6次からは視点4の「サスティナブルな社会の実現をめざす生活主体者としての行動を促す記述(主体的参画)」が出現しはじめ、第7次で記述数が増加している。以上のことから、学習指導要領の改訂を重ねるに伴って、食生活・衣生活・住生活のいずれの領域も「サスティナブルな視点」が豊かな内容を含む教科書と変化していることが明らかになった。
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