研究概要 |
タデアイの生葉染めやリュウキュウアイの煮染め、赤色色素インジルビンを豊富に含む沈殿藍による分散染めなどの手法で、絹、羊毛、ナイロンなどに対しインジゴとインジルビンが混ざった色である赤紫色が染色できる。これらは新鮮な生葉を用いたものであり、乾燥葉ではインジゴが生成してしまうため、このような利用はできない。一方、毛染の剤等として市販されているインドアイ乾燥葉には、インジゴになる前の状態であるインジカンが保持されており、それを使えば生葉染め同様の染色が行えると考えられるか、実際に検討はされていない。そこで、インドアイ乾燥葉の粉末を使って生葉染めの手法で赤紫色染色についての検討を行うとともに、粉末を多量に使用することでインジカン濃度を高めることができるという特性を活かし、濃色に染められないか検討を行った。その結果、500ml規模では、染色温度、エタノール濃度が高いと色がくすむが、エタノール20%までは濃度が高くなるほど赤みが強くなった。タデアイの生葉染めと同じ傾向が見られ、インドアイ粉末を10〜20%エタノール水溶液にいれ、10〜60分間放置後,炭酸ナトリウムを加え、常温で1時間染色する方法が最もよく染まった。ペースト状にして低浴比で染色すると多少濃く染まったが、色ムラが生じた。500ml規模よりもアルカリを弱くすることがよく、エタノール5%、炭酸水素ナトリウム5%の水溶液を使用し、ラップフィルムで密閉し1時間染色する方法がもっとも良かった。
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